「本屋のあかり」紹介本 『ニューベリーの物語』
278 『子どもの本の世界を変えた ニューベリーの物語』 ミシェル・マーケル 文 ナンシー・カーペンター 絵 金原瑞人 訳 西村書店 1800円
まだ、人々が白いカツラをかぶったり、ペチコートをはいたりしていた時代のイギリスでは子どもの本はなく、説教くさい詩やイソップ物語やキリスト教の本を読ませられていました。そんな中、ジョン・ニューベリーは生まれ、活字の大好きな少年となり、チャンスがくるとロンドンでジョン・ニューベリー社を立ち上げました。そして、子どものために楽しいお話を次々と出版しました。ジョンは、金の花柄の紙を取り寄せて本の表紙に使い『小さなかわいいポケットブック』と題して売ったり、「本だけなら6ペンス。ボールか針山(ピンクッション)つきだと8ペンス」とチラシに書いて本とおもちゃをセットにして売ったりしました。まぁ、随分と商売上手なかただったんですね。他にも次々といろんなアイデアが浮かび、子ども向けの雑誌を作ったり、何日もかけて味わうことのできる、長くて夢中になる小説もたくさん出版しました。彼は亡くなるまでの間に、子どもの本を100冊以上出版し、出版された本は何千部も売れたのだそうです。その中でも、先ほど紹介した『小さなかわいいポケットブック』にはこう書かれています。「教育において大切なことは、子どもを強くたくましくすこやかに正しくかしこく幸せにしてやることだ。」と。
また、ニューベリーさんは本当にやり手だったみたいで、本の他に、特許を取得した「ドクター・ジェイムズ・フィーバー・パウダー」という解熱やその他の効能のある粉薬を販売し新聞に広告を出したり、本の登場人物に宣伝させたりするなど、本と薬を同時に宣伝するうまい方法を考え出したりもしたそうです。やるなぁ。
そんなニューベリーさんの功績を讃えて出来たニューベリー賞には、これまでこの番組で取り上げた本もたくさん入っています。やっぱりいい本だ!ということですね。
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
この番組は、毎回私が気になった絵本から読み物まで、内容を読んだりしながらご紹介していきます。そして、オススメの一曲も。お気軽に聞いていただけたら嬉しいです。
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