• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2025.04.29

「本屋のあかり」紹介本『生皮』

『生皮(なまかわ) あるセクシュアルハラスメントの光景』 井上荒野 朝日文庫 858円

「あらあら、なんかえらいもの読み始めちゃったな~、でも止まらないな。」と思いながら読み進めた本です。あくまで私の感想ですが、この本、セクハラ問題にありがちな、どちらか一方のつらい話的な感じではなくて、いろんな立場の人たちの捉え方の違いや考察が深くて、なかでも特に、加害者とされる男性の視点で語られる説得力のある理屈が凄すぎて、これは一種の愛情なのでは?それとも身勝手な理屈ってやつなのか?と混乱してきてしまいます。でも、こんなふうに取り込まれたら世の中にたくさんいる、映画監督と女優、音楽プロデューサーと歌手、先生と教え子の結婚なんか、おいおいヤバいんでないの?本当のところ大丈夫か?って哀れみの目で見てしまいそうになるんですが。自分が被害者であるということに気づき、声をあげてから起こる騒動とそれを乗り越えていくまでの双方とか周囲の人たちの感覚や感情とかその顛末までしっかりと書かれているので、よーくわかってとても勉強になりました。ぜひぜひ一読をおすすめします。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
この番組は、毎回私が気になった絵本から読み物まで、内容を読んだりしながらご紹介していきます。そして、オススメの一曲も。お気軽に聞いていただけたら嬉しいです。
毎週月曜日の9:30から15分間。木曜日の14:00と土曜日の17:00に再放送があります。

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