• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2025.12.11

「本屋のあかり」紹介本『動物たちは何をしゃべっているのか?』

『動物たちは何をしゃべっているのか?」山極寿一・鈴木俊貴 集英社 1,870円

つい最近まで、動物には複雑な思考はないとされ、研究もほとんどされてこなかった。ところが近年、動物の認知やコミュニケーションに関する研究が進むと、驚くべきことが分かってきた。動物たちは何を考え、どんなおしゃべりをしているのか?シジュウカラになりたくて年の半分以上を長野県の森で暮らす研究者と、ゴリラになりたくて何年も群れのなかで過ごした研究者が、最新の知見をこれでもかと語り合う。そして、その果てに見えたヒトの本質とは?・・・・・という対談集です。
最新のコンピュータ技術とかAIとかの研究でもなく、人間通しの心理学とか哲学とかの研究でもなくて、言葉の通じないと考えられてきた動物たちに対する研究なのにこんなにも人間社会について考えさせられ、見つめ直されるという気持ちになったのには驚きました。
そもそも、サルや類人猿について「言語の発達以前に、まず視覚的なコミュニケーションがあったんじゃないか?それが、ダンスや音楽となり今日まで残っているのではないか?」と言う話に特に心惹かれました。しかしその後、人間は言語というものを獲得してしまったことで、全てのことを言語化して説明しようとする世の中になってきてしまったことで、より原始的で身体的な体験や感動が薄れてきているのでは?という話にもなっていました。本当にそうですよね。
この本を読んで、シジュウカラにだって、ゴリラにだって言葉で喋らないだけで、彼らの社会には豊かな世界があるということがわかってなんか安心しました。「やっぱり、そうだったのね!」って。ゴリラとかオランウータンだと、人に似ているのでなんとなく想像しやすいのですが、鳥だと、私にとってあまり身近な存在ではないので、ただお外でピーチクパーチク鳴いてるだけと思ってた、例えばシジュウカラが、文法を持っていて「ピーッピ・ヂヂヂヂ」は「警戒して・集まれ!」という「二語文」になっている!なんて、そんなふうにしゃべっていたのね!すごい!!という感心してしまうお話しばかりでした。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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