• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2021.04.28

「本屋のあかり」紹介本 『人生はどこでもドア リヨンの14日間』

249 『人生はどこでもドア リヨンの14日間』

稲垣えみ子 / 東洋経済新報社 / 1,400円

 著者の稲垣さんは、朝日新聞の記者をされていた方で、2011年の原発事故後に始めた、「超節電生活」を綴ったコラムが話題になりましたよね。あと、アフロヘアも。
そんな彼女が、フランスのリヨンで過ごした毎日を綴った旅行文学です。
なんか、こうも自粛という名の縛り生活みたいなものが続くと、急に放浪の旅にでも出たくなってしまいませんか?
もう、想像上だけでも自由になりたーい!って気分です。

まずは、プロローグから。

 私は、この本で何が良いなーと感じたかというと、滞在先で、「有名などこどこ行ってきました」とか
「○○を観に行った」とか「お土産にコレ買いました」とかではなく、ひたすら毎日の生活をどう過ごすか?を考えて、「マルシェに行ってその日に食べる分だけ食料を買って料理してみる」とか「近くのカフェに行って常連になってみたい」とか「小さな専門店でワインを買ってみる」などの、日常生活をいかに上手く円滑に送るかについて四苦八苦している様子を描いてくれていてすごく面白かったです。
私も旅行に行けるようになったら、こんなふうにどこか異国で過ごしてみたい!コレならできるかも!って本気で思いました。
メッチャ参考になりました。

 そんな旅を終えた稲垣さんは、エピローグでこんなことを考えたと書いています。
「必要なことは語学力でも情報でもコネでもお金でもなく『自分』だったのだ。大したことのない自分、ダメな自分。
地球の裏まで行ったからといってそんな自分がひっくり返るなんてことはない。
いつもやっていないことが旅行したからといってできるわけじゃない。
それを認めればよかっただけのことなんだ。で、どこへ行こうともいつもやっていることを一生懸命やればよかったのである。」
これも、共感しちゃいました。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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