• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2022.03.22

「本屋のあかり」紹介本 『のっぽのサラ』『ママのうちとパパのうち』

『のっぽのサラ』パトリシア・マクラクラン作 金原瑞人訳 中村悦子絵 徳間書店 1430円 『ママのうちとパパのうち』メラニー・ウォルシュさく おおはまちひろやく 光文社 2090円

今回は、シングルマザーやシングルファーザーのおうちの子どもたちについて考えてみたいと思います。
きっかけは、『ママのうちとパパのうち』を手に取ったことでした。この絵本は、離婚した父親と母親のそれぞれのお家で子どもがどう過ごすかを描いた幼児向けの絵本です。ちょっとした仕掛けがついていたりして文章も短くて、だいたい3・4歳向けの絵本になっていて、そこが新しいし、面白い絵本だなと思いました。外国の絵本では近年、こういった離婚家庭をテーマに描かれた絵本が出版されていてよく目にするようになりました。考えてみると、日本の絵本でこういったことをテーマにした絵本をあまり見かけないなとも思いました。この絵本は、イギリスで出版された絵本ですが、日本でも最近は特に増えているようですので、需要はあるのではと思うのですが。以前、お店でお客様に「小学校で読み聞かせをしているんだけど、両親が揃っていて愛に溢れているようなお話の絵本は、離婚されている家庭の子どもにはかわいそうだから読めないので何かそうじゃない本ありますか?」と聞かれてなんだかとてもびっくりしてしまった記憶があります。それを、配慮とか忖度とか言うのかもしれませんがなんだかその時は納得できませんでした。のちに読んだ本の中で「そういった配慮は全く必要のないものだ!むしろその子が親になった時にロールモデルとなるものを示すためにもたくさん絵本を読んでやって刷り込んでいった方が良いのだし、そういう本を子どもは欲しているのだ!」ということが書かれていて「そうだよね!」と思いました。
また、離婚した後もヨーロッパなどと、日本は違うような気がします。この絵本には「ママのおうちでは、私の部屋は黄色い壁で、真っ暗な部屋で寝るのが苦手だからパンダの明かりがあるの」「パパのおうちでは、お花模様の壁紙にちょうちょの明かりがついてるの」「学芸会に出たときはパパもママも見にきてくれた」と続くのです。日本だと、離婚したらどちらかが子どもを引き取り別々に暮らし、場合によっては二度と会わないなんてこともよく聞きますしね。特にシングルマザーなんて「子ども3人を一人で育てるなんて無理でしょー」って私でも思いますけどね。
そしてここで、もう一冊どうしてもお薦めしたい本があります。『のっぽのサラ』です。この本は、1985年にアメリカで出版され、大評判になり、ニューベリー賞を受賞したそうです。日本では1987年に出版されています。どうして私がこの本を今ご紹介しているかというと、こんなに昔からシングルファーザーのおうちのお話を描いている本だからです。でもこの本のちょっと変わったところは、小さい頃にお母さんを亡くし寂しがっている子どもたち、アンナとジェイコブのためにお父さんが、新聞広告に新しいお母さん募集の記事を載せたことにあります。その時代には珍しくなかったのかもしれませんが少々驚いてしまいますけど、考えてみると、現代の出会い系アプリですかね。こうして、大草原に3人だけで暮らす家族の元に、はるか遠い海べの町からママになってくれるかもしれない女の人サラがお試しでやってきます。喜んだアンナとジェイコブはサラがずっとここで暮らしてくれますようにと願います。段々と草原での暮らしに慣れていったサラですが、ときどき「海が恋しいわ・・。」とつぶやく時もあります。すると、アンナとケイレブは胸の潰れるような想いに駆られるのです。そしてある日、サラはパパに馬の乗り方を教えてほしいと頼むのです。そうして馬車の乗り方をマスターしたサラは一人、街へと出かけて行くのです。この場面を聞いてください。・・・・・・・・・・・・
死別と離別は違うのかもしれませんが、どちらにせよ、残された子どもにとっては過酷な体験でしょうねぇ。

あかり
あかり

本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
この番組は、毎回私が気になった絵本から読み物まで、内容を読んだりしながらご紹介していきます。そして、オススメの一曲も。お気軽に聞いていただけたら嬉しいです。
毎週月曜日の9:30から15分間。木曜日の14:00と土曜日の17:00に再放送があります。

この記事をシェア

同じカテゴリーの最新記事

さらに見る