本屋のあかり紹介本『10分で名著』
『10分で名著』 古市憲寿(フルイチ ノリトシ) 講談社現代新書 990円
私、それこそ20年近く前にすごく心に刺さった格言というかお言葉がありまして「So many books , so little time」という、直訳すると「たくさんの本、少ない時間」要は、世の中に本はこんなにたくさんあるのに、それらを読みきれるほど人生は長くないって感じの言葉なんですけど。初めて聞いた時は、ちょうど大学を終えて本の家に帰ってきてたくさんの本に囲まれて右も左もわからず、それこそ両親や常連のお客さんから教わりながら、でもこれではいかんと、少しずつ頭に詰め込むために読書を始めた時期で、まだ読んでいない本がた~くさんた~くさんあることにハッと気づいたところでした。なんだか絶望的な気持ちになって、あきらめの気持ちも芽生えてきたところだったのですが、この言葉に、なーんだこう思ってるの私だけじゃないんだ!とホッとしたことを覚えています。しかも、当時は誰がいった言葉なのか知らなかったのですが今、調べてみたらフランク・ザッパというミュージシャンの言葉だと知りました。おもしろーい。でも、ホントかっこいい言葉だと思いません?私、できることなら腕にこの言葉、彫っておきたいくらい好きです。今は、お店のカウンターに書き出して貼ってあります。忘れたくない言葉。なにも、どうせ読みきれないんだから無理して本なんか読まなくていいということではなくて私は、むしろ限られた時間だからこそ、心に残るような本で感動したいし、読んでなんか損したなという後悔の残らないような読書がしたいな!って思います。そうなるとついつい手に取ってしまうのが、今回ご紹介するようないわゆるガイド本なんです。世界中に存在する本の中でも、後世に語り継がれる名著ってあるじゃないですか?そういう本って大抵、すっごく分厚いんです。持ち上げることすら躊躇するような重さ、硬さの本。素晴らしい本だということはわかっているのだけれど、どうしても読めない本。そんな本たち12冊を、その本の研究者に「そもそもどんな本なの?どこが面白いの?どうやって読んだらいいの?」と直球勝負で聞いていくそんな本です。すっごくわかりやすかったです。なんだか読めそうな気がしてきました。
古市さんも最後、こう書いていました。「本を読むのは義務でもなんでもない。好きな時に、好きな本を選び、好きなページを開けばいい。もしもその本が今、面白くないと感じたならば、それは「読み時」ではないということなのだろう。人生百年時代である。毎年、世界で数百万点の書籍が出版されるが、「名著」はそれほど多くない。だから、長い人生の中で、ゆっくりと本を読んでいけばいい。その時、この本に記された何らかの言葉が役に立つのかもしれない。だそうです。
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
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