「本屋のあかり」紹介本『メインテーマは殺人』
『メインテーマは殺人』アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 訳 創元推理文庫 1,210円
最近の我が家のテレビは、夕食後のお楽しみとして毎日毎日「刑事フォイルシリーズ」か「ポワロシリーズ」がお決まりのコースです。たいてい物語の途中から父も母もうたた寝をし始め、最後まで寝ているか解決シーンくらいからパッと目が覚めるかのどちらかです。なので、何回でも見たがります。そして、このどちらの脚本も手掛けているのがイギリスを代表する作家アンソニー・ホロヴィッツです。この方のお話すっごく面白いんですよ。私の妹が大好きな作家さんで「カササギ殺人事件すっごく面白いから読みなよ!」と言われていたのに私、テレビで観て満足してしまい本は読んでいませんでした。「普通のミステリとはまたちょっと違うテイストで良いんだよ」と言われていたので「どれいっちょ読んでみるか!」とこの本を読んでみました。表紙をめくると早々にあらすじがありこう書いてありました。「自らの葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺(こうさつ)された。彼女は自分が殺されると知っていたのか?作家のわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、ドラマ『インジャスティス』の脚本執筆で知り合ったホーソーンという元刑事から連絡を受ける。この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかというのだ。かくしてわたしは、きわめて有能だが偏屈な男と行動をともにすることに・・・。ワトソン役は著者自身、謎解きの魅力全開の犯人当てミステリ!7冠制覇『カササギ殺人事件』に並ぶ圧倒的な傑作登場。」
そうなんです、本人が書いたミステリ小説に本人が登場するんです。そして実際に実在する人物や手掛けた作品や脚本の裏話まで書いてあるんです。まさに彼のファンにはたまらない本だと思います。でも、よく考えると、ある事件によって辞職した刑事に殺人事件の調査・解決を依頼するというところも現実には難しいと思うし、お話の中でホロヴィッツさんはちょいちょい自身の自慢?のようなものを挟んでくるし、挙げ句に事件解決近くには犯人に薬を盛られ、ナイフで刺されるんだけど間一髪でホーソーンに助けられたりしてあんたちょっとカッコつけすぎじゃない?自分で描いてるんだから別に良いけどさ~って気持ちにはなりました。
この本で重要なのは、アンソニー・ホロヴィッツがホーソーンの調査結果から書いた第一章にまだ気づいていない大事なヒントが隠されているとホーソーンが指摘し、読者とホーソーンの間で同じ情報を共有し、フェアな立場で推理させてくれるのです。だから、読者がとても鋭い観察眼の持ち主ならば、この謎はすぐに解けるはずです。
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
この番組は、毎回私が気になった絵本から読み物まで、内容を読んだりしながらご紹介していきます。そして、オススメの一曲も。お気軽に聞いていただけたら嬉しいです。
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