• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2024.06.29

「本屋のあかり」紹介本『アメリカは自己啓発本でできている』

『アメリカは自己啓発本でできている』尾崎俊介 平凡社 3080円

振り返ってみると私、「巷に自己啓発本が溢れかえっているけれど、こういう本、ほんと嫌い!!」なんて言っておきながら、結構この手の本をご紹介しているような気がして、急に恥ずかしくなってきました。だってこの本によると、成功した人の自伝やスポーツ界の人の指南本やスポック博士の育児書までをいわゆる自己啓発本として紹介していて、そうくるか!?ってびっくりしました。また、専門がアメリカ文学研究の著者がこの本を書くことになるきっかけというのもおもしろくて、毎年新年に一冊、今まで読んだことのないジャンルを読むことを習慣にしている尾崎さんが、たまたま年末に書店で手に取った本が『印税で一億円稼ぐ』という本だったそうで、この本をとてもおもしろく読み終えた後に、小学校時代からの親友二人と新年会をした時に、「ところで、自己啓発本って読むの?」と聞いたところ「読む読む。とにかくやる気が出るし、書いてある通りに自分の生活を改善してみると、何となくいい感じになるのだがしばらくするとまたうやむやになってきて、そんな頃にまた新しい自己啓発本に出会うのでまた買ってみるを繰り返しているそうです。そんな親友が最終的に戻ってしまう本が、ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則』という本なのだそうです。この本、日本のビジネスマンであれば読んだことのない人の方が少数派なのだそうで、そんな有名な本を全く知らなかった自分にも驚いたのだそうです。私もびっくり全然知らない本だ!
ということで、この日を境に尾崎さんは自身の研究テーマを「日本一の自己啓発研究者になる!」ことに置き、10年間ひたすらに自己啓発本を読み続けたそうです。するとまぁ、度肝を抜かれる事ばかりだそうで、例えばある自己啓発本には「四六時中、自分が億万長者になったところを心に描いていれば、いずれ必ずそうなる」と書いてあったり・・・これはいわゆる引き寄せの法則と呼ばれるもので、ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則』もこれに当てはまるそうです。まぁまぁ、この辺までならまだ許容範囲内ですけど、だんだんと、「ポジティブなマインドを維持すれば、どんな病気も治る」とか「あなたの内部にある本能的なスキルを活用すれば、どんなスポーツでも瞬時にマスターできる」と主張するオカルト本みたいなものまで。ここまでくると流石に怪し過ぎる。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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