「本屋のあかり」紹介本『菜食主義者』
『菜食主義者』 ハン・ガン著 きむ・ふな訳 CUON 2,420円

なんだか、最近、いろんな人のおすすめの本として出てきて、韓国の人の本だから読みにくいかなと一瞬躊躇したのですが、帯に「何の予備知識もなく読み始め、一気に心を持っていかれてしまった。豪雨のなかに放り出されたような、強烈な読後感が残る。」と書いてあったので、「お!これはいいかも」と思い、旅のお供に持って行って電車の中や空港、暇な時にちょこちょこ読んでいたんですが、一度、この沼に落ちると、しばらく戻って来れずにドヨーンとした気分の落ち込みを抱えたまま旅をしていたため、結局風邪をひいて帰ってくる羽目になりました。まぁ、そのくらい私の心をぶち抜いたと言うことなんですけれどね。
そして、帰ってきて調べたら「なあんだ!この人、2024年にノーベル文学賞を受賞した人で、その人の代表作なんですって!!イヤーだ、それを早く言ってよ!っていうか読む前に気づこうよー!自分。」と思った次第であります。
この本は、ある日突然、冷蔵庫に入っている肉も卵も牛乳も捨て食べなくなったヨンへという女性と彼女を取り巻く家族にまつわるお話しです。突然の変化に夫が戸惑いなぜ?と問いかけると「夢を見たの。」とヨンへは答えます。それはこんな不思議な夢でした。・・・・・・・
なんだか、これ読んでると「そーだよなー、人が肉食べるのってなんか不思議だよねー、よく気持ち悪くならずに食べてられるよね自分。」って急に疑問が湧いてきちゃったんです。だからって、これからも食べるんですけどね。私は。
まぁ、肉を食べないというのは色々な意味でのメタファーにはなっているとは思うのですが、女性としてこの現代社会を生き抜いていくことって全世界共通に難しいことなんだろうな~とも思いました。
最後に、ノーベル文学賞の選考委員会が彼女を選んだ理由はこうでした。「ハン・ガン氏の力強く詩的な散文体の文章は歴史的な心の傷と向き合いつつ、人間のもろさをあらわにしている。彼女はすべての作品を通して、心と体や、生と死の関係についてユニークな意識を持っていてそれゆえに、彼女の詩的で実験的な文体は現代の散文文学における革新的存在といえる」
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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