「本屋のあかり」紹介本『わたしは食べるのが下手』
『わたしは食べるのが下手』天川栄人(てんかわえいと)小峰書店 1,760円

この本は、今年の「青少年読書感想文全国コンクール」の中学生の部、課題図書です。まずは、少し読んでみます。・・・・・
のちのち、わかってくるんですが、この葵ちゃん、要は「会食恐怖症」なんです。初めて聞く方も多いと思うのですが「会食恐怖症とは、誰かと一緒に食事をすることへの恐怖があり、レストランで食事ができないなど、不安を感じて食べられなくなる症状を持ち、社会不安障害の一つに分類されています。無理に食べようとすることでめまいや動悸がしたり、吐いてしまったりします。」人前で食べられないことでメンタルへの影響や仕事、プライベートへの影響も多いようです。自分一人で治すのは難しく、治療が必要なものだと認識したほうが良いそうです。そして、こうなる要因として一番に挙げられるのは、学生時代の「完食指導」なのだそうです。まさに先ほどの給食の時間のことです。これが後々まで影響を及ぼすのです。
私、自分が小中学生の時はどうだったっけ?と思い返してみると、高崎って私たちの頃からずっと自校方式っていう各学校内に給食室があって独自に作っていて、出来立てを食べることができていたのでいつも美味しかったよなという記憶しかありません。熱々のご飯にスープが出てくるのです。逆に、近隣の市町村はセンター方式で、一箇所で作った物を時間になったら配送していたので全てが冷たくて美味しくなかったって声を聞いたりして、可哀想だななんて思っていました。
私なんて、給食の時間が1時くらいなので12時くらいからずっとお腹が空きっぱなしなので、いよいよ食べる時には気持ち悪くなってくるくらいだったのに。もちろん残したりなんかしませんよ!
この本の話に戻りますと、そんな葵ちゃんは、給食の時間が辛くなり保健室に避難します。そこでお友達ができます。一人は「摂食障害」で給食の時間にはいつも保健室にいてなんにも食べない遠藤さん。もう一人は、インドネシア人でムスリムのラマワティちゃん。戒律で食べてはいけないものが給食に出る時はお弁当を持ってきています。
なんかもう、これだけでも「あー、そうかー、私なんかなーんにも考えないで給食バクバク食べてたけど、世の中いろんな人いるもんな~、大変だな」って思いました。
こんなこと書いてあります。「わたしたちは、食べるのが下手。生きるのが下手。でも、たぶん、生きるのが上手な人とか、いないし。だから、まあいっか。」
この三人の、食べられない問題はすぐに解決できる問題じゃないし、きっと一生ついてまわる問題なんだけれど。きっと、誰にも助けられないし、これからも自分で折り合いをつけて生きていかなければならない問題なんだろうなって思いました。でも、食べることって生きることに直結するからある意味、現代病なのかなとも思いました。
うーん、それにしてもこの本でどう感想文を書いたら良いのだろう?物語としては面白く読めたんだけれど、感想文を書くには難しい本だな~と思いました。
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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