• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2025.12.11

「本屋のあかり」紹介本『湯気を食べる』

『湯気を食べる』くどうれいん オレンジページ 1,760円

くどうれいんさんは、最近若い人に人気の作家で歌人の方です。岩手県盛岡市出身で、大学時代を仙台で過ごし、現在も岩手県に在住されています。彼女が、「食べること」にまつわるエッセイ集を出されたので、この方の書いたものを読んだことはないけれどまず、どんな人なのか知るにはエッセイを読むのが一番だろうと思い買ってみました。ドンピシャに、おもしろかったです。「私こんなにおしゃれなものを毎日食べてます」っていううっすら自慢エッセイではなく、「せり鍋」「うーめん」「笹かまぼこ」「きりたんぽ」「萩の月」といった東北地方に住んでいる人ならではのお話がいっぱいで興味深かったです。しかもみんーんなとっても美味しそうで、ぜひ私も食べてみたい!!と思うのですが、いかんせん材料を揃えるのすら難しいものもありこれはお取り寄せ作戦か?とも思ったのですが、それすら難しいものも。例えば「菊のおひたしとてんぷら」というページではこんな具合、「菊ほしい?」と友人から言われた。ほしい。秋と言えば菊のおひたしだ。受け取ってみると、ポリ袋ぱんぱんに詰まっている。抱えると、ふわっと菊の匂いが漂う。「うわぁ、ありがとう!わたし、菊のおひたしに青じそドレッシングかけて食べるの大好きなんだよ」と言うと、友人は笑いだして「びっくりしたあ、わたしも青じそドレッシングがいちばん合うと思ってたけど、そんな人はじめて会ったよ」と言う。菊は花ごと鋏で切られてあり、まだ花びらがすべて萼(がく)についている。「このかたちのまま天ぷらにするのもおいしいんだよ」「えっ、天ぷら」「そう、塩かけて食べるの」ですって・・・・・・
た~ベ~て~み~た~い!! そして、れいんさん、作ってみて味見してみたら「あまりの香りのよさに悶えた。菊の匂いがギュッと凝縮されて、甘い。なによりも花をそのまま食べているような背徳感がたまらない」ですって!見た目も綺麗なんだろうな~ そんでもって次にサラッと「初夏にニセアカシアの天ぷらを作るときもそうだが、花を揚げる時の妙な高揚は何にもたとえがたい。」なんて書いてあって、「なにっ!ニセアカシアの天ぷら?そんなの見たことも聞いたこともないですけどー」知らないの私だけですかね?って感じで、サクサク読めちゃいました。せりなんか、ふっとい根っこが一番美味しいんですって。今度、野草研究家の先輩に聞いてみよう。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
この番組は、毎回私が気になった絵本から読み物まで、内容を読んだりしながらご紹介していきます。そして、オススメの一曲も。お気軽に聞いていただけたら嬉しいです。
毎週月曜日の9:30から15分間。木曜日の14:00と土曜日の17:00に再放送があります。

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