• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2026.07.09

「本屋のあかり」紹介本『BOXBOXBOXBOX』『とどけ!ニモツくん』

『BOXBOXBOXBOX』坂本湾 河出書房新社 1,650円    『とどけ!ニモツくん』ミノオカ・リョウスケ作・絵 すずき出版 1,540円

私の家は、ほぼ毎日、段ボール箱や郵便物が届きます。加えて、夜中に本の配達もあります。佐川さん・クロネコさん・郵便屋さん・Amazonさんカンダ物流さん、それぞれに工夫や個性があってけっこう楽しいです。なのでたぶん、他のお家より配達員さんとの会話は多い方だと思います。いつも大変そうだな~と思ってみています。
だから、この『BOX BOX BOX BOX』というタイトルを見た時に「あっ、宅配便の集配所か何かでのバイト君とかの報われない労働みたいなものを書いた小説かな、おもしろそうだな」と思って注文して読んでみたんです。そうしたらなんかちょっと違ってました。まず、この本、私が毎号とっている「文藝」という文芸雑誌の2025年冬号で文芸賞を取った小説だったので小説の全文と、著者のインタビューが載っていました。はい、読んでいなかったので知らなかったのですねー。本を取り寄せて読んでから気づきました。「くそっ、持ってたのか失敗した!!」
そしてそこには「安部公房の『箱男』を意識して書いた」なんて載っていて、なんじゃどうりで、精神が壊れてそうなおかしな男ばかりが出てくるお話しだったな。なんて・・。来る日も来る日も宅配所に集められた荷物たちがベルトコンベアのレーンに流れてきて、その中から自分の指定された「NSー201」などの番号をピックアップして集めて配送車に載せるって感じの仕事をこなしていくっていう話です。なかでも、安という名前の若い男の子がこの単純作業をやり過ごすために、無数に流れてくる箱の中身を妄想して楽しんでいたんです。
そしたらある日、偶然に箱の中身を覗き見ることができ、今度は中身を盗みたい欲求に駆られ、という話なのですが、よく考えると最近は、特に自分で集配所に荷物を出しに行くと、内容物の欄にとんでもなく細かく何が入っているかと書かないと受け取ってもらえず、しつこく中身の状態などを聞かれますよね?「配達途中に破損などあると困りますので、とか言われて。」だから、妄想するまでもなく品名見たら分かるんじゃない?って全く夢のないことを考えたりしていたら、この小説あんまり楽しめませんでした。あと、この宅配所はどうやら24時間稼働しているようで、夜になるとベトナム人たちをのせたバスが来て、日本人の作業員たちと交代するんです。「あぁ、こんなところにも実習生の波が来ているのか」と思ったりして。なんか、くらーくなる話でした。ところでこれから、この分野ってどんどん機械化されていくんですかね?最終的には荷物出す時も受け取る時もA Iとかロボットとかで、気づいたらおうちに届いてる、みたいな・・。それもそう遠くない未来って感じもしますね。
 それでいくと、次の『とどけ!ニモツくん』の方は、さすが絵本だけあってやさしー世界が繰り広げられていました。こちらの絵本、表紙からしてよくできていて、シワシワのクラフト紙の包み紙にガムテープで絶妙に荷物感が出ている作りの絵本で全体的に目にとまる可愛さです。内容も宅配便の荷物くんが集配所で仕分けられて大型トラックに乗せられるのですが「ぎゅうぎゅうづめで、はこばれるなんて、きゅうくつでたのしくなくて、つまらない!ひとりでもとどいてみせるさ!」って飛び出しちゃうのです。「コロコロ コロコロ ころがって、なりゆきまかせ かぜまかせ」・・読みながら「おいおい大問題だよ!ドライバーさんだって困るだろ!!」って思わずつぶやいてしまう展開に。まぁ、そのあとはたぬきに見つかり助けられたり、天狗や薪運びのお兄さんなどに助けられ、最後は駅員さんが駅から駅へと電車に乗せてくれて、そしてなぜか知らせを受けたドライバーさんが配達先の近くの駅で待っていてくれたりして無事に男の子のところまで着きましたっていう話です。「まぁ、無事に着いたからヨシとするか?」なのか?と、少々悶々としてしまいました。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
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毎週月曜日の9:30から15分間。木曜日の14:00と土曜日の17:00に再放送があります。

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