「本屋のあかり」紹介本 『タラント』
『タラント』 角田光代 中央公論新社 1,980円
私、角田光代さんの小説、大好きだったので「紫式部」の現代語訳をするために、しばらくの間、小説の執筆を控えると聞いた時「えー!残念。」って思ったのですが、やっと訳し終わって、またこうして再開されて、嬉しいです。ソッコー買ってしまいました。しかも新聞連載だったなんて。全然気づきませんでした。それにしても、読んでいるとなんだかいつもの角田ワールドではないような、迷いを感じたので、ちょっと気になりました。
そこでまず、なぜこの小説を角田さんが書こうとしたのかという事や、どんなお話なのかという事についてはほんとコミックの情報マガジン「ダ・ヴィンチ」4月号の特集「角田光代」の中のインタヴューに詳しく載っているのでちょっと読んでみたいと思います。・・・・・・・・・・・・・・・・・
この本は、400ページ以上ある長い作品だったので、何日かかけて読んでいる途中にちょうど北京でパラリンピックが行われていましたし、震災から11年目となる3月11日の日も読んでいました。ほんとに胸に迫るものがあったし、ウクライナの問題とか今がほんとに大変な状況の中で「この本を読んでいられるというある意味幸せな状態」をも含めて色々なことを考えさせられました。
それこそ、アフガニスタンやイラクでの紛争についての話も出てくるのですが、今、現在進行形でウクライナでの戦争が起きている中でこれを読んでいるとまた違った見方もできてきます。10年20年前の紛争に比べてSNSの発達した今は、まさにその地で暮らしている一般人が置かれている状況や考えを全世界に発信できるようになり、それをテレビなどを通してリアルタイムで見ることで、どこか遠い地で思っている出来事ではなく、ごく身近な出来事としてとらえてしまうようになりました。それはそれで、今私には何ができるのだろうか?とか、考え出すと暗い谷底に沈んでしまうような感覚になってしまい、なんだか苦しくなってきてしまうのです。私は、こんななんともない日常をおくっていて良いのだろうか?とか。もちろん、寄付とかできることはやっているつもりなんですけどね。でも、一つ言えるのは、あんな独裁者みたいな人があんなに権力を持つ前に止めることができるように、もっと政治に関心を持ち、もの言う一般人でいなければならないと言うことだと思います。
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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