• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2022.06.04

「本屋のあかり」紹介本 『我が友スミス』

『我が友、スミス』 石田夏穂 集英社 1540円

私は、三年前に飼い犬が亡くなってからというもの、本当に全く散歩なるものをしなくなってしまいました。あんなに朝に夕に徘徊老人の如く近所の立派なお家やお庭をのぞいたり、ちょっと遠くのパン屋さん、広くて誰もいない公園、田んぼや草ボーボーの空き地などをウロウロしていたというのに。だから、もう急激に筋肉が落ちてきて、体力も無くなっていくのを感じていました。そして、これはいかんとつい最近、音楽に合わせてエクササイズをしているお友達から教えてもらいながら駐車場で踊りました、というか筋トレしました。そうしたら、もう夜中に飛び起きました!なんか身体中が痛くて痛くて。びっくりです。くしゃみするだけでもまだお腹が痛いです。くしくも、この筋肉痛の最中にこの本を読みました。まぁ、とっても面白かったです。
この本は、主人公の女性が「なにか別の生き物になりたい!」という漠然とした望みのもと、ジムに通い黙々と筋トレに励んでいたところ、これから新しいジムを開くという女性から「私のところで、ボディビル大会に出場してみないか?」と誘われ、俄然張り切り厳しいトレーニングを開始して素晴らしいからだに生まれ変わっていくさまを描いています。
しかししかし、彼女はトレーニングをしながらも、別の肉体改造にも迫られていくんです。それは女性性のアピール、具体的にはピアスの穴を開けでっかいピアスをしたり、髪を長く伸ばしたり、脱毛して、弾けそうな笑顔を常にたたえ、筋肉が綺麗に見えるように肌を小麦色に焼き、ハイレグの水着を着て、12センチのハイヒールを履いて壇上を歩かなければならないのです。それに対して、段々とこの主人公は、「私は純粋に筋肉を鍛え上げることは好きだが、こうなりたかったのではない!」と感じ始めるのです。そしてとうとう大会当日を迎え・・さぁ、どうなるのでしょうか?興味のある方はぜひ読んでみてください。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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毎週月曜日の9:30から15分間。木曜日の14:00と土曜日の17:00に再放送があります。

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