本屋のあかり紹介本『ルポ 誰が国語力を殺すのか』
『ルポ 誰が国語力を殺すのか』 石井光太 文藝春秋 1760円 『発達障害「グレーゾーン」』 岡田尊司 ソフトバンク新書 990円
最初は、近頃何かと話題のグレーゾーンと呼ばれる発達障害未満の人たちについて詳しく知りたいなと思い、この『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』を読んでいたのですが、その途中でですね、ある中学校からの注文の本が入荷したんです。それが『ルポ 誰が国語力を殺すのか?』です。著者が石井光太さんだったので「あー、この人のルポはいつもエグいところを突いていて、それでいてただの怖いもの見たさとか暴露的な下品な感じはなくて本当にどういうことなのか知りたい!という純粋さがあって好きなんだよな。」と思って、そんな人が今度は何について書いたのか、気になってペラペラページをめくってみるとですね、衝撃的なエピソードにぶち当たったのですよ!思わず、店に来る、お子さんをお持ちの知り合いに次々と読んで聞かせてしまいました。「ちょっと聞いて!」・・・・・・・
どうですか?なんだか、膝から崩れ落ちるような、衝撃を受けましたよ私。この本のタイトルの国語力って現代文の成績を上げる力とか難しい本をたくさん読める力ってことではなくて要は、生きるために必要なコミュニケーション力ということですよね?他人と意思疎通をして楽しく生きていくって人間に本来備わっているものだと思っていたのですが、違うんですね。勉強ができるできない以前の問題ですよね。でも、読み進めていくと、ここでまたしても出てくるのですよ。幼少期に読み聞かせをしてもらっているかどうか?これは、つまり子どものことをケアする時間がどのくらいあったか?ということです。その子のことを観察し、その子のことを考えていた時間です。長く接していればいいという問題でもないのですよ!
もう、2冊とも読んで思うことは、こうすれば大丈夫っていう解決策ってないですよ!絶対に!!ってことです。
でも、いじめや不登校や引きこもりにしても生きづらさについても結局は、ちゃんと自分自身の気持ちや考えを自分の中で言葉にしてみるという作業ができないと自分で自分自身のことがわからないままだし、なーんにも人には伝えられないので一歩も前に進めないということですよね。それに、そもそも言葉にするための語彙を獲得していなければ、そのモヤモヤした気持ちに名前なんかつけられないし、ましてや相手の立場に立って物事を考えるなんて夢のまた夢って感じですよね。ということだけは理解できました。まぁ、当然のことですけど。これ一番大事なことですけどね。発達障害についても、その人の特性を周りの人たちが共感し、理解することも大切だけれど、本人も自分自身と対話し、自分にとって何が苦手で何が得意なのかを把握することで、随分と生きやすくなっていくし周りもサポートしやすくなるのではないかと思いました。
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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