「本屋のあかり」紹介本『ホーム』
『ホーム』 堂場瞬一 集英社文庫 ¥968
毎年、夏休み近くになると大型の本屋さんには出版社各社の文庫を集めたコーナーができていて、「新潮文庫の100冊」とか「カドブン夏推し2023」なんてあるのでついつい「今年の夏は何読もうかな~文庫で安いからちょっとくらいハズレでも良いから気になったのまとめて買おう。」って太っ腹な気分になって買い溜めしてしまうんですよねー。「とりあえず平積みされている文庫の表紙をボヤーっと眺めて~、ぱっと見で気になった本を手に取りペラペラとめくったり、裏表紙に書いてあるあらすじに目を通す。その時、帯の推薦文も重要で、自分の好きな人が書いているととりあえずその推薦文を読んでみる。これいいかもってピンときたのは手に持っていく。」なんてやっていると時間なんてすぐ過ぎていくんですよね。この際だからと、『人間失格』とか『吾輩は猫である』なんかの装丁が現代的に作られているのを「まぁ、もう一度読み直してもいいか」なんて軽い気持ちで買って、家に帰って冷静に考えてみたら「あ、そうだ。中身は同じなんだ。じゃあ、もう持ってるじゃんか!」なんて自分にツッコミ入れたくなったりして。こんなことを毎年繰り返している夏です。このコーナーの良いところは、今まで全然知らなかった作家さんや、流行りの作品に出会えることです。単行本ではなかなか手にとらない恋愛小説やホラーやミステリーを手軽に楽しめるので、ついついお風呂に入りながらとか外出先で暇つぶしに読んだりしてしまい、シワシワのグチャグチャになってしまったりもします。(こう書くと、なんだか書いてる作家さんに申し訳ないような気がしてきました。作家さんもまさかこんな読まれ方してるなんて思わないだろうな。ごめんなさい。)ていうか、いま気づきました。なんだかんだいって私、まんまと出版社の人たちの術中にハマっているということですね。まぁ、WIN WINか。
さてさて、そんな感じでワクワクと表紙たちを眺めていると「ムムッ!コレは!!」と思う本に出会ってしまいました。『ホーム』堂場瞬一、表紙にはバッターとキャッチャー、審判に三塁手の写真、コレは野球小説か?帯にはなんと「2023WBC日本代表監督 栗山英樹氏 まさに監督1年目に経験した、怖さと感動。誰もが、居場所を得るために、最も難しい心の戦いに挑む。これだ!涙がひたすら溢れる!!」ですって。「あぁ、コレは買いだわ。」と、ホクホク顔で手にとった次第です。もちろん、裏表紙のあらすじも読みましたよ。「大リーグのピッチャーだった藤原雄大は、引退後フリーバーズで投手コーチを務めている。東京オリンピック直前、野球アメリカ代表監督が死去し、藤原が監督に就任。全く経験はないが、勝利のための人選を始める。目をつけた選手は日米二重国籍の天才バッターで・・・。人種や国籍の問題、ポジション争いなど幾多の困難を乗り越えアメリカ代表として金メダルを目指す!挑戦し続ける男を描く熱きスポーツ小説。」ですって。読んだ後に知ったのですが、この小説『8年』という小説の続編なんですって。それを読んでいなくても充分楽しめましたけど。でもね、でもね、「事実は小説より奇なり」とか言うじゃないですか~。この小説でも天才的なバッター芦田くんという子が登場するんですけどね。「あれ、バッティングだけか~」とかふと思っちゃうんですよ!なんせ、こちとら最近毎日テレビでエンゼルスの試合で「今日の大谷君は40号を打った。」とか「今日の先発ピッチングはどうかな?」なんて手に汗握りながら観ているので、物足りなさを感じてしまいました、このお話に。いかんいかん、もう目の前の現実が空想を超えてしまっています。
もうこうなったら私は、大人しくテレビを観て現在進行形の彼の活躍をしかと目に焼きつけておこうと思っています。これはもう「王貞治とか長嶋茂雄の現役時代の活躍を生で観ていたことを自慢するのと同じように、大谷っていう二刀流のすごい奴の活躍を私は観ていた!」と歳をとっていから誰彼構わず自慢するために彼の活躍を見届けようと思っています。
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
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