• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2022.08.28

本屋のあかり紹介本 『あかちゃんは口で考える』

314『あかちゃんは口で考える』田賀ミイ子 冨山房インターナショナル 1430円

この本は、ざっくり言うと、歯科医である著者が口というものは体全体の健康につながる大事な器官ですよ、ということを教えてくれる本です。
まずは、口のはたらきについて。・・・・・・

次に、その口を使ってかむこと飲み込むことについて。私はこの本を読んで気づきました。「そうか!かむことって学習して獲得していくことなんだ!」と。

次に、食べ物を噛むことの効果について。
1。前頭前野を発達させる
 噛むことと脳は、密接な関係をもっています。食べ物をよく噛むことによって脳が刺激されて興奮し、血液の流れが活発になり、脳は活性化されます。脳のなかでも特に人間の知性にかかわる大脳の「前頭前野」が活性化されることがわかってきました。前頭前野は衝動的な行動を抑え、ものごとを考え、計画を立て判断して行動するはたらきをします。人間らしく知性的に行動するための司令塔です。普段はおとなしくて真面目な子どもが何かのきっかけで突然いらだち、怒りを抑えきれずに攻撃的な行動をとるいわゆるキレるのは、この前頭前野が未発達であるか、機能が低下していることが原因だと考えられています。
2。ストレスを解消し、リラックスさせる
 かむことによって、脳内に緊張をやわらげる化学物質(セロトニンなど)が増加して、ストレスによる不安などを抑えてくれます。プロのスポーツ選手が試合中にガムを噛んでいるのを見かけますが、これは噛むことで緊張を和らげ、気持ちをリラックスさせる効果を利用しているのです。
3。だ液の分泌が増える
 かむことによって、だ液の分泌が促進されます。だ液には数多くの酵素が含まれていて、消化を助け、がんなどの病気を防ぎます。
4。食べ過ぎを防ぐ
 よくかむと満腹感がえられるので、食べ過ぎを防ぎ、肥満防止になります。よくかむことによって脳内で神経ヒスタミンなどの化学物質が増えて満腹中枢が刺激されるので、食べ過ぎを防いでくれるのです。よくかまないで早く食べると、この満腹中枢が働かないので、一口30回かむことを目安にしましょう。
5。アゴを発達させる  
 かむという運動をすることによって、アゴの骨が強く丈夫になります。
6。顔に表情が生まれる 
 かむことによって、頭蓋骨がバランス良く成長し、表情が豊かになり、美しい笑顔が生まれます。

考えてみると、かむことや飲み込むことって子どもに限った問題ではなくて、生きている限り毎日必要な大事な動作だし、歳をとったり病気になった時に噛む力や飲み込む力が弱くなると大変なことになりますよね。しかも弱ってきた時には訓練しないとどんどんダメになってきてしまいますしね。だから人の生き死にに関わるすっごく重要な問題なのではないか?と感じました。
この本の中でも、よくかむということが心身を健康にしてくれる例が載っていて、「脳性マヒの子どもが頑張ってよくかむようになったら体の動きがよくなった話」や「寝たきりの老人が歯の治療してかんで食べられるようになったら歩けるようになった話」や「子どもがスイミングスクールでアゴのストレッチをしたらまっすぐに泳げるようになって記録が伸びた話」などたくさんあります。
この本には、ベロやくちびるを動かす体操も載っていますので、気になる方は読んで親子でやってみることをオススメします。アゴの発達や歯並びの問題などにも関わるので、小さい頃からの習慣にするとよいのかもしれませんね。成人になって咀嚼に問題があるのは、離乳期から6歳くらいまでに原因があるそうですよ!

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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