• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2023.04.15

「本屋のあかり」紹介本『オレンジだけが果物じゃない』

『オレンジだけが果物じゃない』 ジャネット・ウィンターソン 岸本佐知子 訳 白水社 1760円

日本語で書かれた小説ってよほど変な文体で書かれたものでない限りは読みやすくって心地よいのですが、時々は海外文学に触れておいた方が頭の体操にもなるし良いのかな?って思って手を伸ばしてみます。いつもたいていはとても読みにくくて苦労するんですが、こういう皮肉の効いた文章を読むと海外文学ってさすがだなって思います。訳者の力量によるところも多分にありますけどね。あと、言葉遊びっていうか韻をふむ感じがそのままヒップホップのリリックにこうして繋がっていくのかとか思ったり。そんな、すんごく不思議な味わいのある語り口なんです。
最近、「親ガチャ」なんて言われたりしているけれど、子どもは親を選べないとは言えど、親から選ばれてしまったウィンターソンさんの人生。思うところは多々あれど、でもこの親に育てられたことでとんでもない想像力やからかいの精神、生き抜く力を獲得できたし、それらを小説にすることもできた、と考えるとお釣りがくると言えなくもない。
この本は、キリスト教とくに旧約聖書から取られた各章のタイトルからも分かるように宗教知識があるともっともっとこの小説をアイロニックに楽しめたのではないかと思います。まあでもそんな知識が皆無の私が読んでも一人の女性の人生譚だと捉えるととってもおもしろいお話でした。 

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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毎週月曜日の9:30から15分間。木曜日の14:00と土曜日の17:00に再放送があります。

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