『ルポ　筋肉と脂肪　アスリートに訊け』　平松洋子　新潮社　２３１０円

この本は、いまだ絶賛WBCロス中の私がですね、何度も試合を見返す中で「なんだかダルビッシュ選手と大谷くんだけ異次元の身体をしているように感じ、サプリメントは取っているにしても筋肉増強剤みたいなものなしにどうしたらあんな身体になれるのか？」という疑問が湧いてきたところで、このタイトルの本に行き当たり「これだ！！」と思い、読んでみました。読んでみて思ったのはまず、著者の平松さんは相当の筋肉マニアのようだということで、自身でも走ったりして鍛えているようですね。逆に、私は筋肉に全く興味がないことを知りました。この本では、新日本プロレスの寮にお邪魔してどんなものを食べてどんなトレーニングをしているのかとか、相撲部屋での朝稽古なども取材に行って、選手たちのその魅せるための美しい筋肉がいかに作られ素晴らしいものになっているかを描写しているのですが、私にはそんなに摂生して大変ですねーくらいにしか感じられずなんだか申し訳なくなってきました。そもそも、大谷くんのあのムキムキの腕も、使うための筋肉だからいいようなもののあのベビーフェイスであの腕はなんだかちょっと笑っちゃいませんか？冗談でしょ？って。そこへいくと、最後に登場した「陸上女子一万メートルやマラソンを走る、新谷（にいや）仁美さん」の場合は徹底した、生理が止まるほどの運動量であの身体を作り上げたんですからあっぱれです。でも彼女こんなこと言って、日本のスポーツ界に一石を投じました。「しばしば美談として語られがちな「自分を追い込む」行為は、心身に大きなダメージを負わせる可能性がある。長きに渡って日本の女子スポーツ界は、この問題に目を背けてきた」と。短い競技人生の先をも見据えて生活しないとボロボロになって終わりじゃ報われないですもんね。
また、女子だけではなく幼いうちから子どもに本格的にスポーツをさせているすべての大人たちに読んでもらいたい箇所があります。要は、「練習」だけじゃなくて「栄養と睡眠」がないと強くなれませんよ！という話。