• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2021.08.07

「本屋のあかり」紹介本 『海を見た日』『発達障害』

262『海を見た日』M・G・ヘネシー作 杉田七重訳 すずき出版 1600円

『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 本田秀夫 ソフトバンク新書 800円

まず、『海を見た日』から。この本を書いたヘネシーさんは、アメリカで里親制度を支援する団体で活動している方で「現在のアメリカにおける里親制度の現状や、里子が直面する現実を、若い人たちが理解しやすい形で明るみに出そうと考えてこの物語を書いた。」と巻末で記しています。
あらすじを含めて、「訳者あとがき」がとてもわかりやすかったです。
この本は、物語としてもよく出来ていたのですが、私が一番びっくりしたのは、ここに登場するヴィク、クエンティンの抱える障害についての描写でした。
いつも自分をスパイだと思い込んでいて訓練だと称して動き回り片時もじっとしていられないヴィクは当たり前のように毎日薬を飲んでいるし、新しく入ってきたクエンテインは、全然喋らないし、すぐパニックになり自分の頭を叩こうとします。最近、日本でも発達障害を持つ人を主人公にしたお話が多くなってきたように思いますが、この本は当事者の心境だったり行動の内側をわかりやすく描いていて読んでいると他人事には思えず、彼らを応援したくなってくるのです。読み終わった後、「発達障害」について気になったので、
次に『発達障害』の本を読んでみました。この手の本は今たっくさん出ていて、他にも読んだのですがとりあえずこれを。
最初に、「発達障害の基本的な特性」の種類とは・・・・・・・・・・・・
まぁ、でも全然どれにも当てはまらないなんて人この世にいないんじゃないんですか?私なんか絶対にADHDの特性を持ってます。でもここで、「発達障害」は病気なの?かというと先生はこう言っています。「発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではありません。「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考える方が、ずっと当事者の理解に役立ちます。「選好性」とは「〇〇よりも〇〇を優先する」という心の志向性です。たとえば「対人関係よりもこだわりを優先する」「じっとしていることは苦手だが、思い立ったらすぐ行動に移せる」・・・・そんな視点から発達障害を理解し、無理に「ふつう」に合わせなければ、生活の支障は起こりにくくなります。
要するに、最終的には発達の特性自体が障害になるとは限らないので、日頃から困難に直面することが多く、いろいろなことを苦手だと感じやすい人にとって、自分にはこういうことができるのだと理解し、それを実践するスキルを習得することがとても重要なことなのだそうです。
前に何かの本で、自分が精神疾患かも?よ思った時、どのタイミングでお医者さんに診て貰えば良いか?と聞かれた医者が「日常生活に明らかに支障が出て、本人も周りの人も辛いと感じたならば診てもらうべき。」と、答えていたのを読んだ時「そうか!なるほど。」と妙に納得してしまったのを思い出しました。要は、多少いろんなことがあっても本人が幸せに生きる道を見つけることが一番大切なんじゃないのかな?と思いました。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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