• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2022.07.21

「本屋のあかり」紹介本 『えんどうまめばあさんとそらまめじいさん」

『えんどうまめばあさんとそらまめじいさんのいそがしい毎日』       松岡享子 原案・文 降矢なな 文・絵  福音館書店 1320円 『ママ、ママ、おなかがいたいよ』レミイ・シャーリップ バートン・サプリーぶん  レミイ・シャーリップえ つぼいいくみ やく 福音館書店 1760円

今回は、またまたゲラ刷りを頂いたので、ご紹介していきたいと思います。こんなお手紙が付いていました。・・・・・・
まず、原案に名前のあった松岡享子さんについては、もう何回もこの番組では取り上げていますが、残念なことに、今年の1月に86歳でお亡くなりになられました。石井桃子さんと並んで、日本の子どもの本の世界に残した功績はそれはそれは大きなものがあると思います。この方の書かれた『サンタクロースの部屋』という本の中に書いてある「幼い子どもがサンタクロースの存在を信じるということの能力・意味についての話」は、毎年クリスマス時期になるとどうしてもたくさんの人に知ってもらいたくてこの番組で読んでしまいます。
それにしても、私このえんどうまめばあさんのお話、読み始めた時から「あらー、まさしくこれは私のことだ!」と思いました。「あ!ごめんなさい。冒頭のところ、えんどうまめばあさんとそらまめじいさんは、はたらきもので、まいにちあさからばんまで、くるくるとまめまめしくはたらいています。というところは私には当てはまりませんでした。失礼。」でも、次の「ただ、ひとつだけこまったことがあります。なにかをしていても、ほかにやりたいことがみつかると、すぐにはじめないときがすまないのです。」というところから、「そう!そう!」となりました。例えば・・・・・・・・・・・・・・こんな具合なんです。

あれ、なんでなんでしょうかね?コレやらなきゃ!と思って始めるのにちょっと違う場所に行くと、そこでそうだ!って思って違うことに手をつけはじめちゃったりして前にやってた事をすっかり忘れてしまったり・・・。そんなこんなをバタバタとやっているうちに気づいたら1日経っていたなんて具合に、過ぎていくんですよね~。そして、夜になると「きょうもよくはたらいた。こんなによくはたらいたんだもの。こんやはさぞかしぐっすりねむれるよ」おばあさんのことばどおり、ふたりはあさまでぐっすりねむりました。次のひのあさ。おひさまがまどから「おはよう」とこえをかけます。あたらしいいちにちがはじまります。えんどうまめばあさん、そらまめじいさん、きょうはどんないそがしいいちにちがまっているのでしょうね。」と、終わります。降矢ななさんの絵もちょっととぼけた感じでいいんです。この絵本には松岡さんの言葉として「暮らすということが大事。いそがしく、たのしくね。」と書かれています。私、ホントそう思います。楽しく暮らすって、ヘラヘラ笑って好きなことだけしてるとかってことじゃなくてなんていうか、毎日を一生懸命に生きているんだけど、変に無理したり我慢したりしないで周りを巻き込みながらみんなで幸せになれる方法を見つけながら暮らしていくことなのかなと思うのですがどうでしょう?全てに効率とかお金とかを持ち込んで考えると絶対に楽しくなくなりますよね。まぁ、大事な事ではあるのですが。
そして最後に、高橋さんからのお手紙にありましたので、ひとつ宣伝を。子どもの本の出版社「福音館書店」では、創立70周年企画として、東京子ども図書館とタッグを組み、長らく品切れ重版未定の絵本の中から、みなさんからの復刊希望作品を投票してもらうキャンペーンを3年かけて実施して、それをもとに8冊が、この度復刊セットとして発売されました。『おばけのジョージー』『かまきりのちょん』『きんいろのしか』『クリスマスのうさぎさん』『ちいさなたいこ』『へそもち』『ママ、ママ、おなかがいたいよ』『よるのびょういん』いずれも昔、こどものともなどで出ていたもので「懐かしー、これ大好きだったんだよね」なんて声がうちのお店では早くも聞かれています。なかでも、私が一番喜んだのは『ママ、ママ、おなかがいたいよ』です。すんごく素敵なんですよ~この絵本。登場人物は、切り絵のようなシルエット画になっていて地味なんですが、背景の色が濃いピンクや明るいブルーだったり、装丁が壁紙模様になっていたりしてとにかくオシャレで品があるんです。一見すると、子どもの本には見えません。ストーリーはシンプルで、お腹がパンパンに膨らんだ坊やが「ママ、ママ、おなかがいたいよ。お医者を呼んで!」って訴えたのでお医者さんが馬車で駆けつけるんです。そして緊急手術で坊やのお腹の中から次々とりんごやらお皿に乗ったままのスパゲティやらブーツやら自転車やらを取り出していくんです。全部取り出し、坊やもすっきり!かに見えたのですが、お医者さんが「あれれ、だれか、わしのぼうしをみなかったかね?」って終わります。いつの時代もこういったちょっとブラックなユーモア絵本って色褪せず、楽しいですよね。私は小さい時に読んでもらってからずっと大好きな絵本なのですが、ちょこちょこ品切れのままになるのがホント不思議でしょうがないんですよね。結構ファンもいるので、いつでも買えるようにしてもらえないですかね、福音館さん。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
みなさん、こんにちは。絵本と童話本の家 續木あかりです。
この番組は、毎回私が気になった絵本から読み物まで、内容を読んだりしながらご紹介していきます。そして、オススメの一曲も。お気軽に聞いていただけたら嬉しいです。
毎週月曜日の9:30から15分間。木曜日の14:00と土曜日の17:00に再放送があります。

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