• 本屋のあかり
執筆者:続木あかり
2022.12.26

「本屋のあかり」紹介本 『動物農園』

『動物農園』 ジョージ・オーウェル 吉田健一 訳 中央公論新社 2200円

言わずと知れた1945年に書かれた、ジョージ・オーウェルの『動物農園』にヒグチユウコさんが挿絵を描き最近発売された本です。ヒグチユウコさんの絵ってなんとなく不気味なのでこの小説にピッタリでした。全体主義の恐怖みたいなことを書こうとしたのだということは、よくわかるのですがどんどん胸糞悪い展開になってくるので途中で、「もう読むのやめようかな~」って思ったんですけど、でも最後どうなるんだろう?っていう怖いもの見たさでページを無理やりめくり読み終わりました。
あらすじとしては、ジョーンズさんが持つ農場で飼育されている動物たちが、この劣悪な環境での生活に耐えられないと、立ち上がるところから始まります。まず、じいさん豚の演説から・・・・・・・・・・
そして、あっけなく革命とも呼べるジョーンズ氏追い出し事件の起こった後に、二匹の若い豚「スノーボール」と「ナポレオン」が農場を「動物農園」と改名し7つの掟を定めます。それが、1、二本足で立つものはすべて敵である 2、四本足のもの、あるいは羽があるものは友達である 3、動物は服を着てはならない 4、動物は寝台に寝てはならない。 5、動物はアルコール飲料を飲んではならない 6、動物は他の動物を殺してはならない。 7、すべての動物は平等である。
まぁなんて理想的!こんなこと考えてるうちはいいんですよ!でもね、だんだんだんだん、この豚たちの発言・行動により自由とか平等というものが歪められ形骸化していくんです。働き者の馬「ボクサー」は、水車小屋を作るためにそれこそ馬車馬のように働き、羊たちや牛たちも懸命に働き、その上なぜか雌鳥たちの卵まで売りに出されるようになり、要するに知らず知らずのうちに支配階級と労働者階級が出来上がっていくんですよ!
出てくるほとんどの登場人物(動物たち)に、ソビエト連邦の革命家の方々、ヨシフ・スターリンとかレフ・トロツキーなどのモデルが当てはめられるようですが、その時代を知らない私から見たら今のプーチンとかウクライナの関係にそっくりだし、それ以外にもこんな事態に陥っている国や会社だっていっぱいありますよね。
そうこうしているうちに、何年も経つと、なぜか農園には前より金があるのですが、豚や犬は別として・・・・・・・・・・・・・
はぁ~。そして訪れる、読むに堪えないこの本の結末はもう、ご自分でお読みください。

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本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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