「本屋のあかり」紹介本 『世界パンデミックの記録』
『世界 パンデミックの記録』マリエル・ウード編 青柳正規 日本語版監修 前島美知子 訳 西村書店 3,850円

この本、というか写真集?は、世界三大通信社のAFP通信(フランス通信社)が、あの未曾有の事態に遭遇した2020年冬から2021年春までのあいだで、世界中で何が起こっていたのかを世界各国で撮られた膨大な写真からさらけ出して見せてくれています。今でこそ、アフターコロナとか言って乗り越えた的な感じになってますけど、この写真たちがまとめられて出版されたのが2022年5月なので、まだまだ先が見えないという段階だったのだと思います。各国は各々ロックダウン等で行き来できない形になったなかでも、ニュースやS N Sなどを通じてあぁ、みんな同じことしてると思うことがたくさんありましたよね、例えば「ソーシャルディスタンス」リマの北1000kmのところにあるペルーの都市ピウラの市営市場の外。買い物客はソーシャルディスタンスを保っている。と書かれた写真があります。それがまぁとんでもなく長い列が道路に何十にも折り返して並んでいて、一人一人が白いペンキで書かれた丸の中に立って待ってるんです。すごーい!って思わずつぶやくくらい。日本では列に大人しく並ぶって普通のことだけど、海外の人にとってみたらかなりの苦痛なんでしょうね。そういう意味では世界各国のあいさつも変わりましたよね。1ページにたくさんの、ひじや足やお尻をくっつけ合った人々の写真が並んでるページもありました。あとは、日本ではさほど流行らなかったようですが、「毎晩決まった時間になると、バルコニーや路上、病院の前などで医療従事者たちに拍手をおくる」という世界的な儀式の様子を写した写真もありました。また、貴重だなと思った写真は「全く人の写っていないタイムズスクエア」です。2020年3月23日に撮影したものだそうです。あとは、スイスのヌーシャテル大聖堂でイスに貼られた400枚の写真によってFacebook上で行われたミサの様子などもあり、みんな色々考えつくもんだな、案外しぶといなと思ったりして。
本屋のあかり(Akari Tsuzuki)
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